市川大門の中尾はつゑさん(88歳)は、運転歴48年のベテランドライバーです。昭和37年、40歳で自動車免許を取得してから、社長専属運転手や工場内での車両運転など、15年間にわたって女性運転手として勤めました。米寿を迎えた今も現役で車を運転しています。 はつゑさんは市川大門出身。7人兄弟の一人娘だったため、父・渡辺米二郎さんには「自転車に乗るのも許さない」ほど大事されていました。そんな父に黙って免許を取得。「とても怒られましてね。でも晩年は、私の弟がいた横浜まで送迎すると喜んでくれました」 まだ免許を持つ女性が少なかった時代、はつゑさんに運転手の話がきました。神奈川県相模原市(旧・津久井町)にある製材会社社長の専属運転手です。バスは1日2本の山奥。「試しにと行って、結局10年務めました」。すれ違いも難しい山道や長距離もどんどん運転。「女性運転手は珍しがられてね。どこへ行っても見物の人が集まったものですよ」。次の会社では、工場内で4dトラックを運転したこともありました。 18年前に夫・正幸さんが他界し、長年住んだ相模原市から、親族のいる山梨に帰郷しました。今でも友人と温泉に行ったり、買い物に出たりと車を使います。腰は少し曲がっていますが、視力1.0で趣味のクラフトでは1a弱の紙も難なく扱います。「人生を振り返ると、免許があって本当に良かったですよ」。今日もさっそうと愛車のハンドルを握ります。
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