高田にある一軒家の庭に巨大な絵が登場しました。この家の主、日本画家の北條楽只さん(68歳、本名・忠一さん)が、北杜市明野町の浄林寺開創830年を記念し、4月8日に奉納する天井画です。構想から2年を費やし、横15.7b、縦2.65bにもなる48枚のパネルに描いた「釈尊降誕歓喜図」。釈迦の誕生の瞬間を赤竜青竜と風神雷神が喜び祝う図です。極彩色で描かれ、赤いマンダラゲの花が舞う中、金色に輝く釈迦をみな笑顔で迎えます。一見ユーモラスでもある絵柄は、温かさにあふれています。 北條さんは10年前、神奈川県から市川三郷町に移り住みました。山々を間近に眺め、川のせせらぎを聞くこの土地に、自然からの創作意欲をかきたてられ、家族と離れアトリエを構えました。この地を選んだもう一つの理由が、和紙でした。「地元の業者に頼んで好みの厚さや大きさの和紙を漉(す)いてもらうことができるのは、画家にとっては最高の環境」と言います。今回の天井画の木枠、和紙とも町内の業者に依頼したものでした。 元々は映像カメラマンだった北條さん。日本画家・小松均氏に画を学んだそうです。ハワイに移住した日本人から直接聞いた話が忘れられず、一昨年には全長620bの壮大なハワイ日系人歴史絵巻(全34巻)を完成させました。北條さんは「絵巻でも、今回の天井画でも伝えたいのは、世界平和。平和の尊さを感じてもらえたらうれしい」と話していました。
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