ヒュー、ドーン、パッ-。今にも夜空に開く花火の音が聞こえてきそうです。市川大門の久保節子さん(69歳)は、和紙やちり紙を使った独創的な手法で、市川大門の夏の風物詩「神明の花火」を描いています。 花火を描き始めたのは8年ほど前から。手法は独特で、ちり紙をコヨリのように細く巻き、赤、青、黄色などに色づけしてのりで貼(は)り、光の筋を表します。白い小さな花が咲いたような「白雪」、色とりどりの光が散りばめられた「万華鏡」など、題名からも情景が浮かびます。作品は画用紙ほどから、1㍍以上の大きなものまで。額縁は夫の朗さん(75歳)の手作りです。毎年、花火を見ながら印象に残ったものを脳裏に焼き付けて帰り、「没頭すると3日ほどで、ひとつの作品を仕上げてしまう」と言います。 子どものころから物作りが好きだった節子さん。朗さんが営む電気店の事務の傍ら、30年ほど前からコツコツとクラフト作品を作ってきました。石に色を塗って絵を描いたり、和紙を素材にして自然の草花をかたどったり。松ぼっくりやひょうたん、野菜、布など、身近にあるものすべてが作品の素材です。「いつも何か、かわいいものが作れないか、考えていますね」と話す表情は少女のようです。 5年前に店は閉めましたが、節子さんは「お世話になった方々へのお礼の気持ちも込めて、作っています。皆さんに喜んでもらえたら幸せです」と話していました。
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