篠原の長谷川俊一さん(52歳)宅の玄関先には、高さ1bほどの柱サボテンがあります。このサボテンの花は、夏に一晩だけ開く珍しいもの。「咲いているのを見られるのは、新聞配達の方ぐらいかもしれませんね」と話すのは、サボテンを育てている妻の陽子さん。今年も8月から9月にかけ、2回に分けて約10個の花をつけました。 このサボテンは南米原産の「鬼面角(キメンカク)」の一種とみられ、花は夜9時ごろから咲き始め、午前3時には満開になり、明け方しぼんでしまいます。満開時の花の直径は20aほどで、大人の顔くらいの大きさ。外灯の虫を追って入ってきたカエルが、花に閉じ込められたこともありました。ハスの花を思わせる白く清そな花。「これほど美しく立派な花を一晩しか咲かせないなんて、潔いですよね」。そのはかなさも魅力の一つ。 長谷川さんの家にサボテンが来たのは9年前。翌年から少しずつ花が咲き、今年は猛暑の影響か、これまでで一番多く咲きました。霜が降りるころには室内に取り込み、春先には外へと気遣います。高さも約20a伸びました。「室内にあると家族の一員みたいですよね。大きくなりすぎて、家族で運ばないと持ち上がらないんですよ」。一夜だけの花を毎年楽しみに、一家で大切に育てています。
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