篠原の志村陽子さん=写真=は、空間全体を作品として表現する「インスタレーション」を手掛ける美術家です。生命をイメージした手作りの花や葉、球体などを空間と調和させた作品を多数制作。全国各地の古民家や寺院などを会場に、滞在しながら地域の伝承や風習をアイデアとして取り入れています。生命や祈りを想起させる作風が特徴です。 昨年からはコロナ禍を題材とした作品も発表。秋には大阪府内の寺院境内に、当時感染して亡くなった人の数と同じ1678本の赤い花を展示しました。「企画したのは不安と恐怖でいっぱいだった3月。会場を見た瞬間に、ここで何かできないかと思い立った」と振り返ります。年末には甲府・県民文化ホール、今年2月には甲府・ギャラリー三彩洞で、白い球体を多数浮遊させる作品を展示。コロナ禍に翻弄されながらも、希望を胸に前へ進もうとする人間の姿を表現しました。 「訪れた人も作品の一部。全身を包まれているのを体感してもらい、穏やかな気持ちになってくれたらうれしい」と話しました。
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