2005年5月20日
特集・東海地震 県内被害想定 死傷者6400人超、対策急務 <9>
課題と提言
耐震補強で被害を抑制/住民の協力体制不可欠
県は被害想定調査の結果を踏まえ、地震防災対策の課題と提言をまとめた。「東海地震 今こそただしく恐れてしっかりそなえよう!」をキャッチフレーズにまずは県民への防災意識の普及啓発の重要性を指摘。建物倒壊などによる人的被害が多いことから、建物の耐震補強などを促している。
液状化危険性の高い地域での液状化対策工事、急傾斜地の対策工事、公共建築物やライフラインの耐震化実施の必要性を行政などの役割として強調している。
また発災後の避難所問題や食料問題、医療問題について、現状では被災者などのニーズに行政側の対応力・供給力が追いつかない状況にあるとして、早急に具体的な対策に着手するよう求めている。
転倒防止実行促す
人的被害の軽減策では(1)建物の耐震補強・建て替えによる耐震化(2)斜面の対策工事の実施(3)家具転倒防止器具の設置−などで、人的被害を想定から約八割減らすことが可能と指摘。「建物や斜面の耐震化はすぐに進まなくても、家具の転倒防止など簡単にできる対策を実施するだけでも約三割の被害を軽減できる」として、各家庭でタンスに転倒防止器具を取り付けるなど身近な対策に手を付けるよう呼び掛けている。地震火災対策では、日ごろから火気に注意することに加え、耐震ブレーカーの設置も有効としている。
土砂や建築物の下敷きになるなど、生き埋め者救助でも、建物の耐震化などに加え、地域住民による救助活動の重要性を指摘。「住民が六人編成で生き埋め者などの救助に当たった場合、救助までの平均時間は木造建物で二・三時間、非木造で八・九時間」とのデータをもとに、いざというときにできるだけ多くの住民が協力できるよう訓練や心構えの重要性を訴えている。
大震災時の医療機能低下も過去の震災で共通する課題と指摘。常に震災を想定し、設備の耐震化をはじめ、災害時対応マニュアルの徹底、複数通信手段の確保や医療品の十分な備蓄を行政や各医療機関に求めている。
新潟中越地震で問題化した車中泊によるエコノミークラス症候群の発症などを防ぐため、プライバシー対策など避難所の環境整備や医療ケア体制確保が重要としている。
要援護者へ支援策
さらに高齢者、乳幼児、要介護者、身体障害者、知的障害者、外国人など災害要援護者の避難体制として、「近隣住民や自主防災組織による支援体制をより一層整備したり、行政との避難時の役割分担を明確化しておくことが重要」と強調。「災害時要援護者が必要とする支援の内容は、災害の時間経過とともに変化する」として、援護を必要とする個々の事情を勘案した上で、平時との連続性(介護・福祉体制や医療体制など)をできる限り確保するようなきめの細かい支援策が必要である、としている。
このほか、観光客など帰宅困難者のための避難・食料確保などの対策の必要性も指摘。加えて、被災時のペット問題についても触れ、適切な住み分けができる避難所整備や、自治体による動物用緊急支援物資の提供、動物保護管理センターでの一時預かり実施などの対策を求めている。
県は、今後の震災対策のキーワードとして「地域防災力」を掲げ、自主防災組織を交えた図上演習の実施や地域防災リーダーの養成、災害時要援護者支援策の具体化などに取り組む、としている。
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