2004年11月3日
防災 市民の手から 山梨・活動リポート
<1>地域ボランティアが被災体験学習
最悪想定し最高の準備
 | | 防災体験会で災害時の持ち出し品のチェックをする参加者=甲府市内の小学校 |
 | | 起震車に乗り、震度6強を体験。思わず体に力が入る=甲府市内の小学校 |
今年八月下旬、普段は子どもたちの歓声が響く甲府市内の体育館で行われた「防災体験学習会」。冷たい床に並べられた毛布の上に、大人たちがごろ寝し一夜を明かした。
学習会は災害・防災ボランティアこうふ(向山邦史代表)が企画した。災害時を想定し、体育館で一夜を過ごしながら体験学習するというもの。参加者は、起震車体験や防災食づくり、バケツリレー、水の浄化体験などを通し、被災者の避難生活を体験した。
1泊2日“避難”
「痛いし、寝にくいし、体育館で一夜を過ごすって、こんなにつらいことだとは思わなかった。もし本当に地震が来たら、自分の家の事を心配しながら不安の夜を過ごすかもしれない。それに冬場だったらと思うと…」。一泊二日の体験学習会を終え、甲府市の小沢玲子さんはこう感想を話した。
十月二十三日に起きた新潟県中越地震では、今なお約六万人の避難者が出ている。暖房設備のない体育館の中に、肩を寄せ合いながら眠れぬ夜を過ごしている。「ブラウン管を通して見る避難者の苦痛が、体験で少し理解できた気がする」。体験学習会は、災害・防災が少し身近に感じるきっかけになったようだ。
災害・防災ボランティアこうふは被災時のボランティア技術の向上と、地域住民への啓発を目的に、今年四月に発足した。体験学習会は啓発の一環で企画。体験学習会の準備をする上で、メンバーたちは啓発活動の難しさを実感した。
「参加者が集まらない」。開催を十日後に控え、メンバーたちは不安を募らせていた。夏休み中の開催で、参加者を三百人と見込んでいた同グループ。地域の住民への呼び掛けや、媒体を使ったPRも行ったが、その時点の参加予定者はその十分の一に留まっていた。
個々に心構えを
防災に関心のある人とない人の温度差をどう縮めるか−。同グループばかりでなく、ほかの災害・防災ボランティアも同じような悩みを抱えている。災害・防災ボランティア未来会の山下博史代表も「地域の役員やボランティアグループだけで、一生懸命やってもだめ。自分が主役であるということを、地域の人たち一人ひとりに伝えないとならない」と話す。
いつ起こるか分からない天災。「うちは大丈夫」「誰かが助けてくれる」−と、心のどこかでそう思っている人も多い。「最悪の事態を想定して、最高の準備をするのが防災。いざという時に自分自身、そして家族を守るのは、国でも市町村でもない」。山下代表は、防災への個々の心構えの重要性を訴える。
まずは、関心を寄せてもらうこと。誰のためでもない、自分のため。地域に芽生えたボランティアの心が、地道な啓発活動を支えている。
「実際にやってみないと、頭の中の知識だけでは分からない部分が多い。多くの人を巻き込んで進めないと、間に合わない。この体験学習会の教訓を、次回に生かさなければならない」。向山代表は思いを強くしている。
◇
大きな被害をもたらした新潟県中越地震−。大地震、台風、大雨と、私たちの暮らしを直撃する自然災害に備え、どう暮らしを守ったらよいのか。山梨県内で動き始めた市民の取り組みをリポートし課題も探った。
地震の心得10カ条
(1)まず、身の安全を守れ
(2)素早く火の始末をする
(3)窓や戸を開けて出口を確保
(4)火が出たら素早く消火
(5)慌てて外に飛び出さない
(6)狭い道路やブロック塀、がけには近づかない
(7)山崩れ、がけ崩れ、津波に注意
(8)避難は歩きで、荷物は最小限に
(9)地域で協力し合って応急救護
(10)うわさ・デマには惑わされず、ラジオなどで正しい情報を聞く
考えてみようわが家の防災意識
〇わが家の耐震診断
〇家具の固定
〇万が一に備えた備蓄品
〇家族同士の連絡方法
〇応急手当てを覚えよう
(災害・防災ボランティア未来会「大地震に備えてのマメ知識」より)
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