2003年9月1日
防災の日 大丈夫? わが家の耐震対策
 | | 住宅の耐震対策に重要な筋かい、はりをかける建設作業員=北巨摩郡双葉町 |
頻発する地震や異常気象による天候異変など、自然災害への恐怖は募るばかり。そこで日ごろからの備えや心構えが必要になってくる。特に阪神・淡路大震災では、犠牲になった人の8割が建物の倒壊などによるとの報告がされており、「わが家の耐震」への知識を持つことが大切という。山梨県は2003年度、木造住宅の耐震診断への助成制度を創設した。ここでは耐震住宅について考えてみたい。
診断促進へ助成制度 県、木造住宅対象に創設
震災被害を最小限に食い止めようと、県は公共施設の耐震化を計画的に進めるとともに、個人住宅の耐震診断や改修を促している。診断が必要なのは現行の耐震基準(一九八一年五月)以前の建物。公共施設では二○○一年四月現在、県施設52・5%、市町村施設59・2%が耐震化を終えたり、八一年六月以降に建てられた「耐震棟」となっている。一方で個人住宅は費用面から耐震診断が進まない現状があり、県は本年度、木造住宅の耐震診断に助成する制度を創設した。
災害時に自治体庁舎は防災拠点、公民館などは避難場所として利用されることから、公共施設の耐震化は不可欠。約二十六万棟の家屋が全半壊した阪神・淡路大震災(九五年一月)では旧耐震基準の建物に被害が多く見られ、住宅の耐震化の必要性が指摘された。
県は耐震改修促進法に基づき、九六年から順次、公共施設の耐震化を実施。県消防防災課によると、耐震棟の割合は県関係が庁舎72・7%、警察本部・警察署65・4%、診療施設66・7%など。市町村関係では庁舎44・9%、公民館52・7%、診療施設87・8%などとなっている。
また県教委によると、学校の校舎や体育館は○三年四月現在、小中学校で63・97%、高校と特殊教育諸学校で70・47%が耐震棟となっている。
一方、県は人命に直結する個人住宅の耐震診断に対し本年度から、実施主体となる市町村に補助金を給付する。九八年度の調査では県内に約二十二万六千棟の木造住宅があり、このうち旧耐震基準の住宅は約十二万六千棟ある。
助成制度は国庫補助を取り入れ、耐震診断の費用について国が二分の一、県が四分の一、市町村が四分の一を負担し、住民は無料で受けられる。本年度は千棟を見込んでおり、重点地区を設けたり、緊急度が高い順に行うなど各市町村が主体的に実施する。
このほか個人住宅の耐震化促進では県地域振興局や県建築士会が相談窓口を開くとともに、簡易耐震診断ができるパンフレットを配布。耐震改修に対する建設資金の貸付制度もある。
耐震基準のポイント 建物使う人の安全重視
私たちが暮らしている住宅は、建築基準法、同法施行令などでその建て方が定められ、地震に対して建物をどのように造るかもこれらの法律によって規定されている。それらをまとめて「耐震基準」と呼ぶ。現在の耐震基準は一九八一(昭和五十六)年の建築基準法改正で設けられた。
日本建築学会によると、この耐震基準は地震によって建物が壊れないようにするのではなく「建物を使う人の安全を確保する」ことを最も重視している。また地震によって建物にかかると思われる力の大きさの算定方法が、設計段階で地震時の建物の揺れ方、地盤の性質を加味するようになったり、ねじれが起きないように建物のバランスを取って設計する配慮がされている。
九五(平成七)年一月十七日未明に起きた阪神・淡路大震災では、六千四百人を超える犠牲者がでて、約二十六万棟の家屋が全半壊した。亡くなった人の八割が建築物の倒壊などによる圧迫死や窒息死であったことが報告されている。建築物の被害の傾向は、現行の耐震基準以前の古い建物が多かったり、手抜き工事による建物が被害を多く受けたという。
こうした被害状況を踏まえ、同年十二月「建築物の耐震改修の促進に関する法律」(耐震改修促進法)が施行された。人命や財産、街の安全を確保するために積極的に耐震診断を行い、専門家のアドバイスを受けながら必要に応じて耐震改修を行って地震に強い建築物にすることが大切になっている。
簡単な方法で自ら点検
自分の住む家がどれくらい地震に耐えられるか。簡単な木造の耐震診断をして、「わが家の安全性」を知る目安にしてみませんか。=上図が診断表
対象は在来工法一戸建ての住宅で、二階建ての場合は一階部分だけで診断する。同じ項目で該当するものが二つ以上ある場合は、評点の低い数値を選ぶ。
判定結果(総合評点)による今後の対策は次の通り。
1・5以上 今後とも適切な維持管理をしてください
1・0以上〜1・5未満 専門家の診断を受ければなお安心です
0・7以上〜1・0未満 専門家による診断を受けてください
0・7未満 ぜひ専門家と補強について相談してください
耐震対策とチェックポイント
県内に被害を及ぼすと予想される大地震としては東海地震、南関東直下型地震が想定されている。これらの地震に対しては日ごろから備えが必要。県が設けている建築物の「地震相談窓口」を利用したり、専門家に相談することをお勧めする。木造住宅の過去の被害例をもとに、耐震性向上のためのチェックポイントをまとめた。
これから木造住宅を建てる人に
(1)地 盤………岩盤、硬い砂れき層、砂利混じりの層で硬くなった場所など良い地盤の敷地を選ぶ
(2)周囲の状況…がけ崩れ、土石流、洪水などによって被害を受ける恐れのある敷地は避ける
(3)家の形………地震の力が建物全体に平均に伝わるような単純な形(整形)が最も良く凹凸の多い建物は弱くなるのでできるだけ避ける
(4)壁・筋かいの配置…筋かいが多いほど強くなる。建物全体にバランスよく配置することが大切
(5)柱の位置……2階建ての場合は、間取りを考えるときに2階の柱が1階の柱の上にくるように配置する。建物の隅の柱は他の柱より太くし、通し柱とするのが有効
(6)屋根の軽量化…地震には軽い屋根が有効。重い屋根の場合は、柱や梁(はり)を屋根の重さに耐えるように強くすることが必要
耐震補強を考えている人に
(1)玉石基礎など…鉄筋コンクリート造りの布基礎に替え、これに土台をアンカーボルトで締める
(2)老朽化した部材…台所・浴室の近くや北側の土台周りは湿りがちで早く腐ったり、シロアリの被害に遭いやすい。土台を替え、柱は根継ぎして金物で補強する。防腐(防アリ)措置を忘れずに
(3)土台・柱・筋かい・梁の接合…ほぞ差し、胴付け、くぎ止めだけの接合部は抜けたり、外れたりするので、金物で強く結びつける。筋かい、柱(または土台、梁)は十分にくぎ、または専用の金物で止める。梁の下端は羽子板ボルトで引き止め、抜け落ちないようにする
(4)強い壁……柱、梁だけでは地震の力に抵抗できない。筋かいを入れるか、構造用合板(厚いほど有効)を柱、土台、梁、胴差し、間柱、胴縁に十分にくぎ打ちする
(5)壁の量……開口部(ガラス窓など)が多いほど地震に弱くなる。開口部を減らし、筋かいや構造用合板で補強された壁を増やすことが必要。隅部を壁にすると一層効果的
家具の落下・転倒防止対策
(1)テレビは高いところに置かない
(2)棚やたんすの上に重い物を置かない
(3)本棚やロッカーなどの収納物は、軽い物を上に、重い物を下に置く
(4)家具は固定できるものは固定する
(5)住宅を新築するときは、建築業者と相談し
イ、つくりつけ家具を考える
ロ、壁に丈夫な取り付け用横木を入れる
ハ、コンクリート造り住宅は、取り付け木ねじの使える木材などを組み入れる
を考慮する
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